2021.02.19
信用状(L/C)を発行(開設)することは、銀行の信用を輸入者に貸す与信行為に当たります。
また、L/Cを発行すると、発行銀行はその支払い確約に基づき、輸入者の代金支払い前に輸出地の銀行へ立替払いしたり、輸入者が支払期日に資金繰りがつかない場合には、輸入者への支払猶予や融資を行ってその資金繰りをカバーしたりといった輸入金融(貸付取引)に発展していくことが一般的です。
輸入者の輸入商品代金の支払を一定期間猶予する輸入金融のことをUsance(ユーザンス、特に日本の銀行のユーザンスを本邦ローン)といいます。 更に輸入商品の売却代金がまだ回収できていない段階で金融機関のユーザンス期日が到来してしまった場合、銀行から新たに円資金の融資を受け、ユーザンスから乗り換えることを、「ハネる」といいいます。この融資のことを総称して「輸入跳ね返り金融」と呼びます。
したがって、発行銀行はL/Cの発行に際し、これら一連の輸入金融取引が発生する可能性も勘案し、輸入者にその返済能力があるかどうか、国内での企業への融資と同様、慎重に輸入者の信用状態を審査しています。
発行銀行としては、L/Cに基づき発行銀行が海外に対して行った立替払いに対して、発行依頼人である輸入者が、後で必ずその支払いができる能力を持っているかどうか、あらかじめ判断しなければならないからです。
もしも輸入者の信用状態に不安があり、銀行が立替払いを行ってもそれを返済する能力がないと判断されれば、銀行はL/Cの発行を拒絶します。
銀行にとって、L/Cを発行するということは、輸入者に対して連帯保証するのと同じことですので、保証をいくらまで行うのかという極度額が厳格に審査されます。 輸入者の信用状態が十分でないと判断した場合、銀行はL/Cの発行には応じるものの、最大100%相当額の担保(拘束預金や、上場会社の株券等)の差し入れを求める場合もあります。 換言すれば、貿易取引の契約は輸入者(買い手)の信用供与によって成立すると言えます。