2021.09.22
英文契約書 一般条項14項の「準拠法」に加筆しました。我が国の成文法である通則法との整合性についてです。
2021.02.15
13. 分離条項 (Severability)
締結した契約書の内容の一部が、適用法規の強行規定に抵触したり、裁判の判決で無効や違法とされた場合でも、他の条項は無効とせず、契約自体は有効とする取り決めです。
無効規定の分離可能性条項ともいいます。
(例文)
Should any term, covenant, condition or proviso in this Agreement be held invalid, illegal or unenforceable, the remainder of this Agreement and the application of such term, covenant, condition or proviso to persons or circumstances other than those to which it is invalid, illegal or unenforceable, shall not be affected thereby and each term, covenant, proviso or condition of this Agreement shall be valid and enforceable to the extent permitted by law.
Accordingly, if any provision of this Agreement shall be invalid under laws or regulations of any jurisdiction the entire Agreement shall not be effected.
(和訳)
本契約の規定,約定,条件,但書きのいずれかが無効,違法,実施不能とされた場合は,本契約の残りとかかる規定,約定,条件, 但書きを無効, 違法,実施不能とされた個人と状況への適用以外は,影響を受けず,本契約の各条項,盟約,但書き,または条件は法律の許す範囲で有効,実施可能である.
したがって,本契約の条項のいずれかが管轄区域のいずれかの法律,規則によって無効であっても,全契約が影響を受けるものではない。
2021.02.15
12.通知(Notice)
契約の履行中の連絡や解約時に相手側に通知を発する必要があります。その場合に担当部署まで、通知が遅滞することなく届くように、送達の方法を取り決めます。例えば、書留郵便で、社長宛ではなく、担当課長宛てにするなどです。
(例文)
All notices, requests, demands or directions to one party to this Agreement from the other shall be in writing and delivered or sent by registered mail postage prepaid, telex, telegram or cable or telefax addressed as follows or to such other address as may be specified by either party to the other in a notice given in the manner herein provided.
本契約の一方の当事者から他方の当事者への総ての通知、要請、要求、または指示は、書留郵便、テレックス、電報、ケーブルまたはファックス、または指定された他の住所に送付または送信されるものとする。
ABC Co., Ltd.
(address)
Attention:
XYZ Corporation (Contractor)
(address)
Attention:
2021.02.15
11. 準拠法 (Governing Law)
国際ビジネスの両当事者は、契約の内容に関して 主権の異なる個別の国家に属し、当然に異なる法体系に服していますが、英文契約書を作るときは、最終的な紛争解決手段として、双方合意の上で、契約統治の基準となる国の法律を定めなければなりません。 それを準拠法といいます。
当事者双方の利害と関係する部分なので、容易に合意に至らない場合も多々あります。そのような場合、双方が妥協して第三国を選ぶなどの知恵を出す交渉と努力が必要になります。さもないと、双方の力関係が決定の最終的な要因となり、立場が弱い側が相手の要求を受け入れざるを得ない結論になります。
経済関係は一種の闘争ですから、強いものが有利な立場に立つ結果を受け入れなければならにことも、厳しいけれど否定できない現実です。この条文も契約書の核心部分です。
平成19年に施行された我が国の国際私法「法の適用に関する通則法」は第7条で「法律行為の成立及び抗力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による。」となっており、民法の契約自由と私的自治の基本原則に符合しているので、納得できます。
(例文)
This Agreement shall be governed and construed in accordance with the laws of the Territory.
(同和訳)
本契約は「テリトリー」の法律に準拠し,これらによって解釈される。
2021.02.15
10.紛争の解決(Settlement of Dispute)
国際ビジネスの両当事者は、契約の内容に関して見解の違いや紛争が生じたときに備えて、解決するルールを予め、取り決めておく必要があります。
日本語の契約でよく見かける「双方が誠意をもって協議し、円満に解決するものとする。」等の円満解決条項は、話し合い解決を理想とする理念としては肯定できますが、紛争は通常話し合で解決できないときに起こります。 従って,そのときは強制力のある第三者の力を借りて解決するほかなく、その手段として裁判によるか仲裁に委ねるかを契約書のなかで取り決めておかなければなりません。
裁判管轄(Jurisdiction)をどうするか、仲裁(Arbitration)機関の選定をどうするは英文契約書作成の核心部分です。
(例文)
All disputes, controversies or differences which may arise between the parties hereto out of or in relation to or in connection with this Agreement or for the breach thereof, shall be finally settled by arbitration in the Territory in accordance with the applicable Arbitration Rules of the Territory and under the laws of the Territory. The award rendered by the arbitrator(s) shall be final and binding upon both parties concerned.
(和訳)
本契約に関して又はその違反から生じる当事者間の紛争,論争,意見の相違はすべて,「テリトリー」の適用可能な仲裁規則と「テリトリー」の法律によって「テリトリー」で仲裁により最終的に解決される。仲裁人(単数,複数)によって行われた仲裁裁定は,最終であり,関係両当事者らを拘束する。(テリトリー部分は国名と選定する仲裁期間の所在地が入ります。)