2021.02.21
信用状発行依頼書の記載事項は次の通りです。
① 信用状の発行(開設)を依頼する銀行名
② 信用状の通知方法
③ 通知銀行(輸出者から特に指定がない場合は記載しない。発行銀行の任意となる。)
④ 発行依頼人(輸入者)
⑤ 信用状有効期限
⑥ 受益者(輸出者)
⑦ 信用状金額
⑧ 分割船積みの可否
⑨ 貨物の積替えの可否
⑩ 船積地
⑪ 最終船積期限
⑫ 陸揚地
⑬ 手形の期日
⑭ 商品名、数量
⑮ 貿易条件(建値)
⑯ 必要書類と通数
⑰ 書類の呈示期限
⑱ その他の条件
⑲ 手数料負担区分
⑳ 発行依頼人(輸入者のサイン)
㉑ 信用状統一規則準拠文言
通知銀行への送達方法
① 郵送
② プレリミナリー・ケーブル・アドバイス方式
(Preliminary Cable Advice プレ・アド)
初めに電信でL/Cの簡単な内容を伝える事前通知(Preliminary Advice/Brief Cable)が届き、L/C本体は後日郵送される方法。
この場合には、電信での事前通知に “Details to follow”等と明記されており、L/C本体ではないことを示している。
③ フル・ケーブル・アドバイス方式(Full Cable Advice)
上記②のような事前通知としての記載がなく、電信で届いたL/Cの場合には、それがL/C本体となる
出典:「貿易実務の基礎が分かる本」P202~203の一部を引用
2021.02.19
信用状(L/C)を発行(開設)することは、銀行の信用を輸入者に貸す与信行為に当たります。
また、L/Cを発行すると、発行銀行はその支払い確約に基づき、輸入者の代金支払い前に輸出地の銀行へ立替払いしたり、輸入者が支払期日に資金繰りがつかない場合には、輸入者への支払猶予や融資を行ってその資金繰りをカバーしたりといった輸入金融(貸付取引)に発展していくことが一般的です。
輸入者の輸入商品代金の支払を一定期間猶予する輸入金融のことをUsance(ユーザンス、特に日本の銀行のユーザンスを本邦ローン)といいます。 更に輸入商品の売却代金がまだ回収できていない段階で金融機関のユーザンス期日が到来してしまった場合、銀行から新たに円資金の融資を受け、ユーザンスから乗り換えることを、「ハネる」といいいます。この融資のことを総称して「輸入跳ね返り金融」と呼びます。
したがって、発行銀行はL/Cの発行に際し、これら一連の輸入金融取引が発生する可能性も勘案し、輸入者にその返済能力があるかどうか、国内での企業への融資と同様、慎重に輸入者の信用状態を審査しています。
発行銀行としては、L/Cに基づき発行銀行が海外に対して行った立替払いに対して、発行依頼人である輸入者が、後で必ずその支払いができる能力を持っているかどうか、あらかじめ判断しなければならないからです。
もしも輸入者の信用状態に不安があり、銀行が立替払いを行ってもそれを返済する能力がないと判断されれば、銀行はL/Cの発行を拒絶します。
銀行にとって、L/Cを発行するということは、輸入者に対して連帯保証するのと同じことですので、保証をいくらまで行うのかという極度額が厳格に審査されます。 輸入者の信用状態が十分でないと判断した場合、銀行はL/Cの発行には応じるものの、最大100%相当額の担保(拘束預金や、上場会社の株券等)の差し入れを求める場合もあります。 換言すれば、貿易取引の契約は輸入者(買い手)の信用供与によって成立すると言えます。
2021.02.19
輸入者(買い手)と信用状(L/C)発行銀行との関係は、輸入者がL/Cの発行を取引銀行に依頼し、銀行がその依頼によってL/Cを発行するという信用状発行契約に基づいています。
輸入者は、発行銀行がL/Cに基づいて、L/C条件と一致する輸出者の書類と引換えに支払いをした場合には、その支払いに対して同じ金額を自らが銀行に支払うという償還債務を負います。
この輸入者の償還債務は、発行銀行が受益者である輸出者に対して負っている支払債務に対応するものであり、輸入者は、例え約束と異なる商品が届いたとしても、そのような売買契約上の理由によって、この償還債務を免れることはできません。
2021.02.19
輸入者(買い手)の取引銀行が、輸入者の依頼に基づいて“取消不能信用状”を輸出者(受益者・売り手)宛に発行したときは、発行銀行が、L/C条件が輸出者によって充足さることを条件として、L/C金額の支払いを確約したことになり、これによって輸出者は代金回収の保証を得ることになります。 従って、輸出者は安心して、買い手に売り渡す商品を生産し、又は調達して、輸入者の指示通りに船積みし、B/L (船荷証券)を船会社から入手し、L/Cの指示する名宛人を支払人とする為替手形とインボイス、その他の買い手が要求する書類を揃えて、買い取り銀行に提出して、支払い(又は引き受け)を受けます。買い取り銀行と通知銀行と同じ場合も、そうでない場合もあります。この買い取り銀行の買い取りをネゴ(Negotiation)といいます。
この発行銀行の約束は決して取り消されることがないのがルールで、L/C条件と一致する為替手形や船荷証券等の船積書類の呈示を輸出者から受けた場合には、たとえ輸入者が倒産などで支払い不能となっても、あるいは輸入貨物が不良品であることが発覚しても、発行銀行はそのことを理由に支払いを拒絶することはできません。信用状発行銀行は、前述のとおり、L/Cの条件と為替手形の船荷証券(B/L )その他の書類の記載内容が文面上、完全に一致している場合のみ、手形の支払い(又は引き受け)をします。言い換えると1文字でも間違っていると支払いを拒絶されることがあります。輸出者が買い取り銀行へ呈示した書類に、L/Cに記載された事項との不一致があることをディスクレ(Discrepancy)といいます。
2021.02.19
信用状は、各銀行が国際商業会議所(ICC:International Chamber of Commerce)の定める信用状統一規則(UCP: Uniform Customs and Practice for Documentary Credit)ルールに準拠して発行されています。現在のバージョンは2007年に発効したUCP600です。